左右盲にクロックポジション
左右盲のことを考えている。
私は小さい頃から左右の感覚が曖昧で,そのことで小さなつまずきを数え切れないほど経験したと思う。「右向け」「左向け」の指示で迷ったり,モノの位置を示す時に左右を使われるとフリーズしたり逆方向に行ってしまったり。
左右が苦手だと認識してからは,ワンテンポおいて「お箸を持つほうが左 (私は左利きだ) だから,こっちが左……」と一旦手を動かして確認することで多少の改善があった。それでもちょっと気が張ったり,逆に気が緩んだりすると,すぐに分からなくなる。そういえば自動車学校でも教官の右左折指示が鬼門だった。
左右は分かりにくい。では,相対方向をどうやって表せば分かりやすいだろうか。「クロックポジション」がひとつの答えなのではないかと思う。方向を時計の針に見立てて,2 時の方向,6 時の方向,とかいうやつだ。ミリタリー要素が入ったアニメや映画を観る人なら聞き覚えがある言い回しだろう。
左なら 9 時の方向,右なら 3 時の方向と言い換える。これなら分かりやすい。アナログ時計を理解する人ならすぐに方向をイメージできる。しかも前後左右と比べて 3 倍の精度で方向を指示できる。良いことだらけ。
……とは言ってみたものの,左右のイメージが無い人がいるように,アナログ時計のイメージが無い人もいるだろうから,これで万事解決というわけには行かないだろう。相対位置という実に基本的な情報であっても,ユニバーサルなかたちにしようと思うと案外難しいのだ。