僕は一寸
2020/12/09

Scrapboxでチャット

僕は Scrapbox という情報整理サービスを使っているのだが、この Scrapbox でチャットをしてみようという試みがある。その名も「井戸端」。これが想像以上にうまくいっているので、Scrapbox はこんなことにも使えるよ!という話と井戸端の宣伝をする。

時間からの解放

Scrapbox でチャットすることの一番の特徴は、時間にとらわれないことだろう。

例えば、Discord や LINE のようなターン制のチャットツールは、基本的にそれぞれの発言が時系列で並んでいくスタイルだ。サーバー、グループ、チャンネルのような区切りこそあるものの、時間が経って他の話題が上がれば、過去の話題は「賞味期限切れ」になり、忘れられ、見落とされ、埋もれてしまう。

一方で、Scrapbox なら話題ごとにページを作ることができるし、どれだけ時間が経った後でも再編集することができる。同時編集するもよし、ずっと昔の会話に対してふと思い出したことを追記するもよし。「遅レス」の気まずさも、見落としも、Scrapbox では根本的に解決されているのだ。

コンテキストの共有

もう一つ、コンテキストの共有に必要な労力が最小限ですむのも大きな特徴だ。ターン制チャットにおいて常に大きな障壁になるのが、専門用語や略称などの共有である。コミュニティの内部でのみ共有されている造語や背景もあるだろう。こういった物は、新規参入の壁になるし、コミュニティ内部の人間の間でも齟齬を引き起こす原因になる。それを防ぐためにいちいちトーク履歴やインターネット上で検索したり、人に聞いたりするのも面倒だろう。

Scrapbox ではそのような問題に悩まされる必要はない。ページ間リンクがあるからだ。

例えば、A という事件(ネット炎上とか)が B という議論に繋がったとしよう。その時、B に関する話をするたびに A について説明することはとても手間だし、逆に A についての説明を省いてしまったら外部からは何の話をしているのかが分からない(そして何より、当事者自身が会話を数年後に見返したときになんの話をしているかが分からないだろう)。Scrapbox ではこういうときに、「A」や「B」についてまとめたそれぞれのページがあればそれですべてが解決できる。一度書き出した情報を再利用できるのだ。B の話をするときには[A]から派生した[B]なのだが...と書けばいいだけだ。これだけで、特殊な用語や特殊な背景を持つ話題を、スムーズに齟齬無く進めることができる。そして勿論、それらの新しい情報や知見は時間にとらわれず、いつでも追記することができるのだ。

井戸端、どんな感じ?

実際の井戸端では、上記の他にも Scrapbox の拡張性や自由度を生かした色々なページが作成されている。タイトルが決まっていないときにとりあえず書き出すための掲示板や、共同で書く日記などだ。特にこの共同日記というのは他に類を見ない不思議で面白いものだ。日記ではあるのだけれど、他の人のセクションにコメントを書き加えたり、それがそのまま本格的な議論になり新しいページとして切り出されたりしている。そんなこんなで 1000 ページを突破したが、時間軸にとらわれない Scrapbox では初期に作られたページでも未だに盛んに追記があり、議論のためのプラットフォームとしてしっかり作用している。

井戸端は Google アカウントさえあれば参加リンクから誰でも自由に参加することが可能だ。案外、0 ページから始める個人プロジェクトよりもこういうプロジェクトの方が最初から Scrapbox らしさを味わいやすいかもしれないとも思う。興味を持ったらぜひ。

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